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猩々(しょうじょう)

能「猩々」

 霊夢のお告げのままに、揚子の市で酒を売る唐の親孝行者・高風の元へ、毎夜あらわれる不思議な童子。顔色も変えず盃を重ね、尋ねられるままに、海中に棲む猩々だと言い残して立ち去ります。御酒を用意し、江のほとりで待つ高風の前に、やがてあらわれた猩々は、酒を飲み、舞い戯れ、高風の徳をたたえて、やがて、汲めども尽きぬ酒壷を与えます。酔いに任せての夢うつつ、泉のように御酒は湧き出でて・・・。
 この能だけにしか使用されない「猩々」の面は、御酒好きの妖精にふさわしい、朱赤の童子面が使われます。くぼんだエクボからこぼれる笑みが、不老長寿の薬酒を寿ぎながら、この世のものならぬ軽やかさで、小躍りしているようです。

猩々(作者不詳 桃山時代)

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