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皺尉(しわじょう)

能「西行桜(さいぎょうざくら)」

 名高い西行庵の老桜の盛り。風雅にあらわれた老翁は、桜狩に繰り出した人々の喧騒への疎ましさから、桜の科(とが)を歌に詠み込みます。この老僧こそ、西行その人。いわれのない責任転換に、桜の精もまた、老翁の風体であらわれ出で、歌僧に、反論をもちかけます。やがて、後半、西行と桜の精は、一体となって融けあい、 短い春の夜と生命のはかなさを慈しみながら、惜しみあう・・・。
 「皺尉(しわじょう)」の仙人めいた面からも、春の朧気立った妖気と幽艶さが、たゆといながら滲み出してくるようです。

皺尉(作者不詳 室町時代)

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