京都新発見サイト 逸都物語

ホーム arrow みさとみちくさ arrow 九月~萩と光悦寺(こうえつじ)
九月~萩と光悦寺(こうえつじ) プリント メール
作者 たきねきょうこ   

萩九月の長雨を、細やかな花々や葉先にいっぱいしたためて、たわむ、萩の細枝。

山上憶良によって秋の七草の最初に歌われている、このマメ科の多年草は、野趣めいた風情で広く人々に愛され、万葉集の中でも、植物では最多の138首の歌に詠み込まれています。

また、もののあわれを匂い立たせるたおやかさと同時に、強靭なすこやかさで、御所の前庭に、路地の軒下に、また山の辺の庵の脇に植え込まれ、その時代ごとに、人々の暮らしを彩ってきました。

京都の北西、鷹峰に位置する光悦寺は、「寛永の三筆」と称され名筆をうたわれた、本阿弥光悦翁の住居跡を、没後、日蓮宗のお寺になさったもの。

境内の中ほど、楓の木々を囲むようにしつらえられた光悦垣を、この季節、萩の花々が彩りだします。

垣の手前の左手、厳かな松林に守られるようにたたずむ、苔むした光悦翁の墓碑からも、秋風に揺れる露を含んだ萩の風情が、垣間見えていることでしょう。

光悦寺の垣

光悦寺(こうえつじ)

説明 鷹峰三山(鷹ヶ峰・鷲ヶ峰・天ヶ峰)を見渡す景勝の地に元和元年(1615年)、徳川家康から野屋敷として与えられた本阿弥光悦は、ここに一族をはじめ、様々な工芸に関わる多くの職人達と共に住まいし、鷹峰一帯を、工芸芸術の共同体として営み、斬新な作品を次々と生み出した。光悦垣は臥牛垣とも呼ばれ、光悦寺の意匠的代名詞とされている。
住所 京都市北区鷹峯光悦町29(Googleマップで表示
交通 市バス「鷹峯源光庵前」下車徒歩3分
TEL 075-491-1305
情報 光悦寺は、また紅葉の名所としても有名。十一月十一日~十三日には、光悦の遺徳をしのんで、法要茶会が営まれる
 
< 前へ   次へ >