四月~やすらいさん |
作者 たきねきょうこ | |||
ページ 2 of 2
やがて社殿の前に戻った行列は、再びやすらい踊りを乱舞して、花傘に宿した祟りなす霊たちをお社に追い込めては、「今宮社(いまみやしゃ)=今宮とは新しく生まれた霊の意」の一員として招き入れ、今度は御霊(ごりょう)として手厚くお祀りしていくのです。いにしえ人の鎮魂(たましずめ)の手際の良さに、現世(うつしよ)でも惑い気味のこちら方は、見事な手腕と手立てに感心することしきり。
ちょうど春のさばの美味しいこの季節、昔はどこのお家にも木枠でこしらえた押し寿司用の型があって、お祭りの日には朝から、お知り合いや親戚に配り歩いたもの。 今年の「やすらいさん」では、娘の同級生や友人の息子さんを、お練り衆の笛方でたくさん見かけました。いつもとは少し違う神妙な顔つきで、また各所でいただいたお菓子で重たくなった袂で、それでも一生懸命、和笛を吹いている姿は愛らしく、またとてもりりしくて思わず笑みがこぼれます。 残り花をなお散り急がせる迷子の精霊たちが、今年もちゃんと花傘を見つけてはもぐり込んで、今宮の御社で、御霊(みたま)として安んじることが出来ますように! そして、笛方や子鬼をつとめるまだまだつたない子供たちが、すこやかに長じていけますよう、今宮社の鎮守の森の高みから、見守まもってやって下さいますように! |
< 前へ | 次へ > |
---|