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五月~たいしょうさん プリント メール
作者 たきねきょうこ   

 

ちまき そしてこの五月五日に「たいしょうさん」のお飾りの前にお供えされるのが、粽(ちまき)と柏餅。ちまきは前出の菖蒲や葦、茅といった強い香りと霊力を持った葉で米粉を巻き上げた蒸し菓子ですが、馴染みが深いのはやっぱり柏餅の方。

 京都には小豆のこし餡と別に、白味噌を使った味噌餡の柏餅があって、一目見てわかるように味噌餡の方は柏の葉の表側を外に、小豆餡は裏側を外にして包んであります。

 なんでも柏の木は、新芽が出ない限り古い葉が落ちないそうで、家系が絶えないという縁起をかついで、江戸時代中頃から端午の初節句に配られるようになったのだとか。今では、粒餡入りの蓬餅を包み込んだ柏餅もあって、こちらは、おまんやさん(和菓子屋)の店先でうれしさに迷い悩むこともしきり。

 味噌餡が好きだった祖母、こし餡が好きだったのは母、甘党だった夫はなんでもござれ・・・そして今年も仏壇のお下がりをひとり何個ずつと、もう子供たちが皮算用にせわしなげ。

柏餅

 柏餅をぱくつくすべての子供たちが、すこやかにゆっくり大きくなっていけますように。

 菖蒲湯の香りを慈しみ、柏の葉の大きさに驚き、四季折々の慣わしごとをなごやかに楽しむ心を、私たちがいつまでも持ち続けていけますように。



 
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