七月~モッコクと海宝寺
作者 たきねきょうこ   

もっこく端正な枝ぶりと、美しい樹容で、
禅寺では、お庭の中心、真木(しんぼく)とされている木、
木斛(モッコク)。

七月はじめ、つばき科、常緑樹のこの木は、
濃緑色の分厚い、楕円形の葉に隠れるように、
小さな黄白色の蕾を、たくさん揺らせます。

  
伏見区桃山の丘陵地に建つ黄檗宗、海宝寺の仏殿前には、樹齢350年を超える、見事な木斛の木が生い茂っています。

 秀吉の伏見城築城の折、この地に屋敷をかまえた伊達正宗のお手植えといわれ、その名残が今も、町名の桃山正宗や、門前の伊達街道などに、数多く残されています。

 ひっそりとうつむいた蕾は、花開いたと思う間もなく、散り急ぐのだとか。
今年もお寺のお世話方をやきもきさせながら、老木は、愛しげな花を枝先までびっしりとつけて、往時を偲ばせてくれることでしょう。

 

海宝寺

 

海宝寺(かいほうじ)
説明
江戸時代中期の享保年間に黄檗宗管長の隠居所として開かれた。付近は伊達政宗の屋敷跡であり、本殿脇にある高さ約六メートルの木斛(もっこく)は、政宗の手植えと伝わる。樹齢は約四百年とされる。
住所
京都市伏見区桃山町正宗20(Googleマップで表示
交通
京阪電車・近鉄電車 丹波橋駅下車。北東へ徒歩10分程度
TEL
075-601-4138
情報
歴代黄檗山主の隠居地として海宝寺では、 予約制で普茶料理(中国スタイルの精進料理)がいただけます。 (4,5日前までに、4名以上で料金は5,000円、5,500円、6,000円の3種類)です。 (予約 075-611-1672)