作者 たきねきょうこ
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白から薄紅・薄紫、一重から八重の花々で、
初夏から秋風が立つ頃までを、鮮やかに彩る木槿の花。
インド・中国を原産地とするアオイ科の落葉潅木で、
平安時代の少し前に渡来、灰白色の枝には繊維が多く、
折れにくいことから、生垣として利用されてきました。
木槿は百日花とも呼ばれ、夏の百日を疲れることない根気強さで咲き続けますが、その花は朝開いて、夕方にはしぼみ、翌日には散ってしまうことから、唐の詩人白居易は「槿花一日の栄」と詠い、はかない人の世の有り事と、無常とにたとえました。
上京区にある西林寺には、木槿の花々にかこまれた小さなお堂に、「木槿地蔵尊」がおまつりされています。
お寺の縁起によると、朝露にしだく木槿の花の下で、慶俊僧都が悟りを開いたその時、花々の蔭から地蔵尊が現れ、驚いた僧都はその似姿を石に刻み、お堂に納められたのだそう。
そのはかなさ由、蓮花(はちす)とも呼ばれ、仏花とされる木槿の花々は、今年も地蔵尊のお堂周りを、手向けのように咲き競っていることでしょう。
西林寺(さいりんじ) |
説明
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桓武天皇の勅命のよって創建された天台宗の古刹。
「木槿地蔵尊」は京都の名地蔵尊のひとつに上げられています。 |
住所
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京都市上京区西陣玄蕃町46(Googleマップで表示) |
交通
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地下鉄「鞍馬口駅」下車 南西へ10分 |
TEL
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075-431-1529 |
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