能「土蜘蛛(つちぐも)」
夜更け、病床の源頼光(みなもとのよりみつ)ににじり寄るひとりの不気味な僧。突然投げかけられる蜘蛛の糸に、 名刀を抜く頼光。やがて血の後をたどると、蜘蛛の巣を破って土蜘蛛の精があらわれいでます。郎党らとの激しい格闘 の後、千筋の糸を吐きながら倒れ逝く土蜘蛛は、葛城山(かずらぎやま)に凝った怨霊の霊魂なのか、それとも・・・ ? 赤頭に大顰(おおしかみ)の面で立ち回る凶々しい姿の影に、追われ往くものの怒りと哀しみが巣くっているようです。
大顰(赤鶴一透斎作 室町時代)